オス犬が子どもを作れないように手術を行なうのは「去勢手術」といい、メス犬の場合は「避妊手術」といいます。
避妊手術という言葉は耳にしたことはあるとおもいますが、実際どういう手術なのでしょうか。
ここでは、メス犬に妊娠させないための避妊手術についてみていきたいと思います。
目次
去勢より避妊のほうが大変
メス犬の避妊手術は開腹が伴いますから、犬も飼い主もいろいろと負担が大きくなります。
また、手術に要する時間もオス犬の去勢は1時間程度で済むのに対してメス犬ではその倍くらい掛かるのが一般的です。
さらに手術後の体への負担もオス犬より大きいので抜糸が済むまで元気のないケースもしばしばみられることもあり、飼い主にとっては心配なことだらけといえるかもしれません。
避妊手術のメリット
しかし、避妊手術はただ望まない妊娠を避けるためのものだけではなく、さまざまな病気の予防にもつながります。避妊処置を行うことで乳腺腫瘍や子宮蓄膿症、卵巣腫瘍などが予防できます。
特に子宮蓄膿症は発症率が高く、出産経験のない7歳以上の犬がヒート後に1ヵ月程度で発症するケースが多々見られ、病気の進行具合では早ければ半月ほどで腎不全から死に至ることも少なくありません。
避妊手術を受けなければ必ず掛かるというわけではないのですが、処置をすればこの病気になることは100パーセントありません。
また、これらの病気は年老いた犬が掛かることが多く合併症などもあり得るので手術が難しくなりがちですが、それらを未然に防ぐことができます。
術後の食生活で他の疾患も予防することができます。犬心ドッグフード(糖&脂コントロール) は犬のなりやすい7疾患を予防するドッグフードです。国内製造なので、安心して与える事が出来るドッグフードです。
そして、発情に伴う犬のストレスがなくなる点も避妊手術のメリットです。
避妊手術は2種類
避妊手術方法は卵巣だけを摘出する方法と卵巣と子宮の両方を摘出する方法があり、どちらのやり方かを選択するかは病院によって異なります。
現在一般的に行われているのは外科の研究者が推奨している卵巣も子宮も摘出するやり方ですが、これは卵巣のみを摘出する方法と比較して切開部分が大きくなり出血量も増えます。
そのため最近では繁殖生理学研究者が推奨する卵巣だけを摘出する方法を採るケースも多くなっています。
この方法でも卵巣と子宮の両方を摘出する方法と効果や術後の弊害があまり差はありませんし、なによりも切開部分が少ないために犬に掛かる負担を減らすことが可能です。
特に犬の体力に不安のある場合には卵巣のみを摘出する方法のほうが好ましいでしょう。
また、卵巣のみの摘出のみでも子宮が本来の機能をしなくなるので、前述したような子宮に関連する疾患の予防にも効果があるともされています。
どちらを選択するかは獣医師に相談することが大切ですが、基本的にいずれにするかの方針を決めているケースが多いようです。
手術を行なう時期
避妊手術を行なう時期にも注意が必要です。
オス犬の去勢は健康であればいつでも行えるのですが、メス犬はヒートの時期の避妊手術は行なわないようにしましょう。
というのも、この時期は子宮につながる血管が太くなるために手術によって出血が大量になる恐れがあるからで、緊急を要するような事態を除いてはヒート時期の避妊手術は避けるべきです。
獣医師もその点は認識しているので依頼しても引き受けないかとは思いますが、念のため覚えておきましょう。避妊に適しているのは生後5~7か月の間といわれますが、これはメス犬がはじめて発情する時期から導き出されています。
学術的には、乳腺腫瘍の予防には発情出血の前に手術を行なうのが効果的であるとされているため、その1~2か月前の生後5~7か月の犬が対象となるわけです。
ただし、はじめてヒートを迎えた後を薦める声もあります。
このように子犬の時期の手術となるので、子犬から飼い始めたならすぐに検討を開始併せてし獣医師に相談しておくことをもおすすめします。
避妊手術に掛かる費用
気になる避妊手術に掛かる費用ですが、これは犬の大きさによって異なります。
ただオス犬よりも手術部分が大きいことや手順が多いことなどで時間を要することもあり多くの費用が掛かります。
小型犬でおよそ2万円ほど、大型犬になると5万円程度を考えておくといいかと思いますが、病院によって金額の差があるので事前に病院に確認しておきましょう。
費用負担を減らす方法として、区市町村といった自治体から犬や猫の去勢や避妊を行なう際の補助金が出る場合があります。
すべての自治体で実施しているのではなく、また補助金額も数千円から1万円程度と異なります。
さらに告知されているのではないのでこの制度自体を知らない人も少なくなく補助金支給の方法も自治体によってそれぞれ違うので、飼い犬の避妊を考えている人は一度地域の自治体に確認してみてはいかがでしょうか。
手術前後の注意
避妊手術を受けるにあたっては、前日の夜、もしくは当日真夜中から絶食させなければなりませんが、この時間は獣医師の指示に従ってください。
腹腔鏡手術なら手術当日に退院することも可能ですが、回復した場合はその日のうちに連れて帰れることは少ないです。多くは1泊で済みますが、術後の回復や状態によっては2泊する場合もあります。
避妊手術後は1週間から10日後に抜糸を行ないます。
この間および抜糸後数日間は犬がその部分を舐めたり掻いたりしないようにエリザベスカラーといわれる円錐台形状のプラスチック製の保護具や保護服をつけます。
また、激しい運動はもちろん、散歩も控えたほうがいいでしょう。術後の痛みが激しければ鎮痛剤を使用する場合もあります。
こういった点は病院の方針と合わせて、獣医師と相談しながら指示に従うようにしましょう。
避妊手術のデメリット
こうして避妊手術についてみてきましたが、メリットだけではない点も知っておく必要があります。
そのひとつが、繁殖ができなくなります。
避妊手術を行なうと当然ですが繁殖できなくなる点です。繁殖の可能性を残したいならばインプラント療法という手段もあります。
これは合成黄体ホルモンを包んだペン先くらいの大きさのシリコンをメス犬の背中に埋め込みます。
ホルモンの効果で疑似妊娠状態にすれば発情しなくなるので妊娠の機会をなくすことができるというわけです。
ただ、ホルモンの効果は永続的なものではないのでうっかりしていると効果がなくなっていたために妊娠してしまったという事態も起こりかねません。また、インプラント剤による副作用の心配もあります。
ふたつ目に、全身麻酔の危険性です。
避妊手術では全身麻酔を行ないますが、麻酔に対する問題のない身体なのか、麻酔の種類は何なのかといった点に注意が必要です。
特にブルドッグやボストンテリアといった「短頭種」の犬では麻酔後に気管が塞がってしまうこともあります。
三つ目は、太りやすくなる点です。
避妊をすると食欲が増すので太りやすくなりがちですが、肥満は人間と同様に犬も糖尿病や心疾患といった生活習慣病のリスクが高まるので、日ごろから食事や運動への気配りが今まで以上に大切です。
カロリーの低い食事にしたり太りやすい穀類を使用していないフードに替えたり、散歩の量を増やすなどが必要となるでしょう。ダイエットフードに切り替える時におすすめダイエットドッグフードを一度チェックしてみてください。高品質のドッグフードをランキング形式で紹介しているので、愛犬に合ったドッグフードが見つかるはずです。
その他にも、手術の際の縫合に使用する糸が犬の種類、特にダックスフントの糸アレルギーになりやすいとされています。
自分だけで判断せずに獣医師に相談しよう
このように犬の避妊手術には多くの注意点や認識しておくべき点が存在しています。
また手術に適した時期が飼い始めて間もないころなので、いろいろと戸惑う点や心配になることも多いでしょう。
なかなか飼い主だけでは判断の難しいところも少なくないので、早めに信頼できる獣医師を見つけて相談することをおすすめします。(去勢手術とは)こちらもチェックしてみてください。
